【発売:2003年1月】
「御一新」から数年経った明治のはじめが、この短編集の舞台。武士という職業はとっくになくなり、多くの侍が職業を変えて、必死に生きようとしていた。本書はそんな激動の世に、屈折した感情を抱きつつ生きている「元」侍たちが主人公である。 表題作「五郎治殿御始末」は、桑名藩の元事務方役人・岩井五郎治の思い出を、その孫が語る短編だ。廃藩置県の施行により、五郎治は旧藩士の「始末」(人員整理)を命じられる。元同僚たちに恨まれ泣きつかれながらも、彼はリストラの役目を淡々と遂行していく。そしてそれが終わったあと、五郎治はある決意を胸に、自分自身と岩井家の「始末」をつけようとするのだが…。 この物語では無垢な孫の目を通じて、時代が変わることの悲しみを静かに描いている。 武士という職業が消えた 目次 椿寺まで |
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